今からちょうど十年前の、春のある日の明るい午前に、私はフィレンツェの画廊を行きめぐって、あの有名なボティッチェリの、海の姫神の絵の前に立っていた。そうしていずれの時かわが日本の故国においても、「桃太郎の誕生」が新たなる一つの問題として回顧せられるであろうことを考えてひとりこころよい真昼の夢を見たのであった。<途中省略>この小さな一冊子の全然無用となるような時代がかりに到達するとしてもそれもまた私には喜ばしい。
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